Tくん、前への予感

 いま巷では寺子屋ブーム再来の観を呈している。インターネットで検索してみるとたくさんの「講座」や「講演会」にヒットする。天童に住む知人Aは数年前NPOを立ち上げ「きっとためになる講座」を断続的に開催しているし、上山の知人Tくんも、同じようなコンセプトで一歩前へ踏み出そうとしている。
 誰でもが参加できる、身の回りの勉強会。勉強会というと垢にまみれたイメージがつきまとってしまうが、本来の「生涯学習」的な発想での、かしこまらないちょっとした講座といったところか。資料代・お茶代としてワンコイン(500円)くらいで、好きなテーマの時だけでも、気軽に参加できる現代版寺子屋である。「今日の聞き手は、明日の話し手」をキャッチフレーズに、身の回りのテーマで、自由に発表し合う時空の創出を思案中なのである。
 「自分史」と称し、本をまとめるのが流行った時があった。しかし、バブルがはじけて以降、かなりの経費を要する出版はなかなか大変な事業になってしまっている。加えて去年の3・11のショックは、私たちのなかの個人主義的な殻(ミーイズム)をいい意味で砕き始め、遅まきながら私たちは他者・社会へとその視野を拡張し始めている。そんな背景の中で、もしTくんのプランがほんとうに実現したら、おおきな意義を背負っていくような気がする。Tくん、前への予感。

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