歴史と〈史跡めぐり〉

 歴史の記述も、史跡も、ともにすべて過去を忠実に反映しているとは限らない。古文書にも政局や事実を紛らすために著されたものもあれば、史跡と言われているもののなかにさえ裏付けや実証のないものもあるといわれている。だから歴史をなぞってみる作業はややこしいし、これでもかという具合に突っ込んでみたくもなるのである。
 ある程度資料を基に過去の出来事を調べて行くと、次のステップとしてどうしてもその実証(現場確認)が欲しくなり、現地を巡ってみたくなると言われている。あっちにもこっちにも行ってみたいと、私の場合も以前からその欲求だけはあった。が、なかなか実際に出掛けてみる機会がなく現在に至っている。
 戊辰戦争就中秋田方面の戦いにおいて先祖が転戦したであろう地域や、歴史の転換点になった数々の事件現場へはやはりいつかは訪れてみたいと思っている。現在の景観からどれだけ歴史的な空気を感じ取れるかはわからないが、何らかの感触や、現地でしか得られない思いがけない発見がないとも限らない。だから、たとえわずかな可能性でもその期待感は捨てがたいのである。

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