詩一篇「夏のノート」

  夏のノート

  季語たちが
  無精髭のようにうねっている
  多彩な朝顔の色
  葉陰に落ちる過激な濃淡

  箸をおろすたびに薄まっていく
  素麺のたれ
  目を擦るごとに腫れ上がっていく積乱雲
  きっとくるだろう涼やかな夕立を待って
  ぼくは間もなく
  ロンドンからの映像を枕に
  うたた寝をするだろう

    咄嗟に見え隠れする
    アスリートたちの夢と諦念
    か細い意識の隙間から
    律儀なリズムがぼくを醒ます夏は
    もう始まっている

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