プロとアマの境界とは?

 どんな領域のことでも、職業をもつかたわら地道に表現活動を持続することは大変なことである。でも、いったん、表現として他者の目(あるいは耳)にさらされるとき、その表現者がおかれている境遇など一切がどうでもよいことがらである。その表現者がプロかアマかなどのっけから問われるとしたら、せいぜい太鼓持ち間にのみ流通する密室的な暗号にすぎまい。
 しかし、一個の表現者に視点を絞ったら事情は違ってくる。二十四時間の使いみちが、大きな分岐点になってくるからだ。どんな表現でもかなりの集中度が要求されることは誰もが経験として承知していることである。まるごと一日を表現活動に費やすことが出来る条件と、限定された時間の中でしかそれが許されない条件とでは、自ずと隔たりがあるからだ。
 時間、それが自由になることとならぬこととの、埋めようのない、境遇の落差。ここにのみプロとアマの唯一の相違が、もしかしたら在ると言ってよいのかも知れない。だが、このこと自体は表現の善し悪しを少しも意味しないことは知っておいた方がよい。

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