友の死

早過ぎるという言葉もどこか違う。かといって十全に自分のやろうとしたことを成し遂げた後の死であったのかどうか、それは逝ってしまった本人にしかわからない。人の死とはつねにそう言うものかもしれないとしみじみ思う。平成24年12月9日、蔵六面工房主宰・木村蔵六氏逝去。享年62。

友の死は、わたしたち生きている者に、一瞬一瞬の時間の貴さを告げてくる。小生にはとても死者の分まで生きる力などないが、もちろん、精一杯、自覚的に生きることを自らに課す事ぐらいは引き受けなければならないと心している。

地元でそれぞれマイペースに活動している表現者(蔵六面工房・秋之野窯・どんぐり・書肆犀・蟹仙洞)5人で「アートスペース蔵ぶ」というゆるやかなグループをつくり、私設博物館蟹仙洞敷地内の蔵でそれぞれが常設展示をしている仲間の一人でもあった。一見豪放磊落な人物のようでいて実は繊細な、ユーモアあふれる男であった。「月刊かみのやま」誌上にも「ユーモアエッセイ」を何篇も寄稿してくれ、読者をよろこばせてくれたことを今でも感謝している。

ご冥福を祈る。

 

go top