ジェフ・ベックの魅力

最近、車の中で好んで聴くのはジェフ・ベック。それも「ライヴ・アット・ロニー・スコッツ・クラヴ」としてリリースされたライヴ盤。ベックに抜擢された女性ベーシストのタル・ウィルケンフェルドの音もセンス抜群。大好きなウェザーリポートのベーシストであるジャコ・パストリアスを彷彿とさせる。

本題はジェフ・ベックのギターテクニックだが、一音一音、意表をつき迫ってくる。おおむねクリアーな音で構成されているが、時折ディストーションの効いた音も使う。なのにあまり濁った印象を伴わない。ヤードバーズ時代からの盟友ともいえるエリック・クラプトンやジミーページも基本はブルースで、ベックといえど同じである。だが、ベックのブルース・ギターのアドリブは二人のギター・サウンドとは異なり、聴いていて少しも飽きが来ないのである。コード進行はおおむね基本通りなのだが、メロディとリズムのアレンジで全く独自の世界に昇華している。だからブルース・ギターの大御所、B・Bキングやマディーウォーターズといった黒人ブルースのギタープレイとは別世界である。

予想を裏切るメロディやシンコペーションの多用は、何度聴いても新鮮だ。この新鮮さは、日常慣れ親しんだ感性のマンネリ化や脆弱化に歯止めをかける方法にも通じるような気がする。

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