貴重な戊辰実戦記・史料

磐城平藩士16人が記していた戊辰戦争実記録覚書が、旧磐城平藩安藤家家臣の会(平安会)メンバーの真木秀明氏宅で、平成22年7月に発見されたことは同メンバーの松井延之氏からの情報で知っていた。それがこのたび、いわき歴史文化研究会代表の小野一雄氏を中心に、翻刻・編集作業を終え、「平安会」から『磐城平藩戊辰實戦記』として刊行されたのである。

磐城平藩戊辰實戦記-小

内容的には、慶応四年(1868)3月から10月までにおよび、奥羽に於ける戊辰戦役の全体にかかわる史料となっていて、その存在価値は極めて高い。平潟から上陸した鎮撫軍、仙台寒風沢から上陸した鎮撫軍それぞれの動向と、その動きに対応する磐城平藩の動きなどが書き留められているのである。とくに興味を引くのは、比較的資料が少ない輪王寺宮公現法親王(奥羽列藩同盟の盟主として、東武皇帝として一時即位した)の足跡が随所にみられることだ。150年近い時間を経過して、いまつぶさに戊辰戦争の実記録を読む意味は、わが国の近代史そのものを再認識するための貴重な資料となるはずである。まずは刊行にこぎつけた関係各位のご努力に対し、敬意を表するものでる。

『磐城平藩戊辰實戦記』平安会刊 A5判228頁 糸かがり上製本 定価3千円(税別)●購読ご希望の方は当H.P.の【お問い合わせ】からご一報ください。

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