不思議な古文書

第4回 上山城 市民大学「古文書講座Ⅱ」

期日:8月10日(土) テーマ:「上山に伝えられた? 鳥羽・伏見の戦い」講師:長南伸治氏(上山城学芸員) 会場:上山城郷土資料館

鳥羽伏見-上山藩

この文書には「上方大変之儀ハ三日は土州薩州負、彦根松山負、會津勝之由…」(訳:慶応4年1月3日の京都の戦況は、土佐藩と薩摩藩が敗退し、彦根藩と松山藩も敗退し、会津藩は勝利したとのこと…)なんと、開戦初日は新政府軍の土佐藩・薩摩藩は敗北し、旧幕府軍の会津藩は勝利したと記されている。一般的に「鳥羽・伏見の戦い」そのものは1月3日の開戦から1月6日の収束に至るまで、旧幕府軍が敗北を重ねたとされているわけだが、この古文書の情報は、通説と異なる内容となっている。その違いの意味を、長南氏は、手堅くこれまでの「鳥羽・伏見の戦い」に関する研究成果から、一文一文検証して行く手法で解説。大変面白い講座であった。もちろん、実際にこういう記録が残っていることの価値を認めた上で、情報収集の過程で誤報を記してしまったのか、あるいは意図的に事実をねじ曲げて伝えようとしたものなのか、はたまたこれまでの研究が間違っていたのか、それぞれの視点から検証してみる必要性を述べられた。ただ、残念ながらこの文書は書かれた当時の全体ではなく、差出人、宛先を記した大事な部分が欠落しているため、その全貌を見極める為の条件としてはいろんなものが不足しているとのこと。しかしながらちょっとスリリングな内容の文書であることには、変わりはない。さらに深く読み込んでみる価値はありそうだ。

※無断転用防止のため、画像には意図的に ノイズ加工を施してあります。

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