示唆に富む一節

「…この頃(註:御一新直後)、京都・嵯峨野などで林が荒れ始めた。嵯峨野の風景が変わり始めたのである。それは、剪定などを怠り美観維持の作業が行われなくなったことに因る。御一新前にこれを行っていたのは幕府である。太政官政府の大久保利通は、陳情を受けて初めてこのことを知った。幕府は、そこまでやっていたのかと驚いたのである。大久保が政治とは何ぞやということを理解したのは、この時からであるとされる。…」

これは原田伊織著『明治維新という過ち』の「あとがき」として書かれた文章の一節である。示唆に富む一節というよりほかあるまい。

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