「西郷どん」寸感

「西郷どん」寸感ー1

大河ドラマ「西郷どん」で注目していきたいのは、大山格之助(キャスト:北村有起哉)がどう描かれていくかだな。長州藩士の世良修蔵とともに奥羽鎮撫総督府軍の下参謀として、奥羽を蹂躙し続けた人物だからね。
とりわけ大山格之助は庄内藩征討戦を指揮したわけだけど負け続け、大著『佐賀藩戊辰戦史』を読むと、新政府軍内部においても評価がきわめて低かったようだ。
にもかかわらず、その後新政府より賞典禄(明治維新に功労のあるものに与えられるほうび)を与えられているんだよね。西郷隆盛の幼友達だったからだろうね、きっと。
私なりの「西郷どん」裏メイン・テーマ。
林真理子がどこまで奥羽越を視野にいれて、この作品を書いたかが見えてくると思うよ。

「西郷どん」寸感-2

「メリケンでは好きな者同士が結ばれる。Love…。そんな世にしないと」って、何言ってんだか。幕府が海外との交易をよりいっそう拡大しようとしていたのを「攘夷だ!外国人を一人たりと国内に入れるな!」ってほざいて、幕府の近代化政策を拒んでいた、いや、それどころか手段をえらばず武力倒幕を画策していたのは、西郷どん、あんたたち薩摩や長州のIS(イスラム国)ばりのテロリストたちだったろうが…ね。それどころではない。「討幕の密勅」を熟考してみると、すえ恐ろしくなって来る。天皇の名をかたって「国家転覆」=幕府の追討の命令を薩摩・長州に命じたのだからね。歴史研究家たちの尽力で、この天皇の名のもとに下された命令が実は偽物だったことが明らかになっちゃてるわけだから…。ご存知の通り主犯は岩倉具視、その背後にいたのが西郷隆盛と大久保利通なんだよね。いま国会で騒がれている「公文書改竄」なんていうレベルの問題じゃない。そんな連中によってつくられた明治国家だったことを、未来永劫、肝に銘じておく必要があるんだよね。

「西郷どん」寸感-3

西郷隆盛がやったことについて、明治政府は、次の5点において高く評価するんだろうね、きっと。

1.    小御所会議といえど恫喝をもって主導権を握り、王政復古の軍事クーデターを決行したこと。
2.  手段を選ばず、火つけ、強奪などで江戸市中を混乱に陥れ、暴力革命の端緒をつくったこと。
3.  情に左右されず、天皇の妹であろうが誰であろうが、敵対勢力を悉く「賊」と規定したこと。
4.  たとえ同志といえど、事が済んだ後は証拠を残さぬために斬首処置もためらわなかったこと。
5.  転封を散らつかせながら、善人を装い、庄内藩から大金を調達し、財政の危機を救ったこと。

ちょっと強引かな。

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