歴史書


岩井哲『手扣帳』『手扣帖(てびかえちょう)— 幕末史の落丁を拾う』
岩井哲著/新書判 196ページ 定価 1,200円(税別)
委託販売店:八文字屋各店
2022年11月2日発売

2015年『異貌の維新』(紅花書房)以来、7年ぶりの幕末考となります。
本著は「ブナの森新聞」「山形新聞」などに発表して来た拙稿を軸に、さらに年に数回、戊辰戦跡巡りをしつつその都度ブログに記して来たものに加筆訂正を加えまとめたものです。

《目 次》
・人物編
  松平 忠固 ~ わが国近代化の礎をつくった老中 ~
  赤松小三郎 ~ 歴史から抹殺された立憲思想の先駆者 ~
  小栗 忠順 ~ 知力・胆力を備えたラスト・サムライ ~
  吉 田 大 八 ~ 「勤王家」という符牒をめぐって ~
  玉蟲左太夫 ~ 〈世界〉を見聞して来た仙台藩士 ~
  雲 井 龍 雄 ~ 奥羽越の矜持を後世に示した志士 ~
  西郷吉之助 ~ 西郷どんは、ほんとうに〈いい人〉だったのか ~
・雑記《ブログ》抄 2016~2022
  仙台藩士一条十郎の証言
  鹿の肉は誰が運んだのか?
  いわずもがな、人間は変化する
  福島に世良修蔵を訪ねて
  白河城(小峰城)から宇都宮城址周辺へ
  天祥山保福寺に但木土佐を訪ねる
  姉歯武之進の眠る瑞満寺を訪ねて
  上山藩も関わった「長岡山の戦い」
  斗南・野辺地・函館をめぐる
  金子与三郎の脱藩未遂事件と吉田寅之助/ほか
・幕末史の転換点~キーマンはアーネスト・サトウか?~



いっとき《奥羽越》はひとつになった!『いっとき《奥羽越》はひとつになった!』 岩井哲   【品切】
2015年1月7日刊
新書版 150頁 定価/800円[税別]

『幕末奥羽の閃火』(2012年刊)につぐ「幕末私論」第2弾。

羽州街道七ヶ宿にある関宿(渡邊丁七邸)での「会津藩救済会談」に始まる奥羽十四藩の〈非戦〉を模索する動きが次第に広がりをみせ、奥羽のみならず長岡藩を核とした北越にまでその理念の伝播を成しえたとき、それは付和雷同とは一線を画した、明確な意志を伴った諸藩連立政権的な質を獲得していたように思えたのである。もしそこまで断言できないとしても、そこへ至るための萌芽は確かに存在していた。
新政府(薩摩・長州両軍を中心とした鎭撫軍)の傲慢な手法や采配に「否」を突きつけた奥羽越諸藩の心情を如実に映し出した出来事こそが、三十一藩の合意による奥羽越列藩同盟の結成にほかなるまい。つまりそれは新政府軍に対する奥羽越の、譲ることの出来ないぎりぎりの矜持の表現でもあったようにみえる。そのプライドと、戊辰戦争末期に味わったであろう新政府軍への降伏という無念、その両相について、己の力量も顧みず纏めてみようとして成ったのが本書である。それは同時に「白河以北」がけっして「一山百文」などと揶揄されるような、思想的にも風土的にも未開の地ではなかったことを綴る作業でもあった。
(「あとがき」より)

目 次
鳥羽・伏見の〈騒乱〉~「討薩表」と薩摩藩の策略~  6
〈非戦〉への往来 ~羽州街道七ヶ宿に見る〈会津救済〉行動~  12
奥羽越列藩同盟の理念 ~和平協議の頓挫、そして矜持の表明へ~  39
吉田大八・異論序説 ~「勤王家」という符牒をめぐって~  63
戊辰戦後の空白を尋ねて ~〈助八家〉仙台移住について~  81
雑記《ブログ》抄  97~145
◎慶応四年(一八六八)六月十六日、六月十八日のこと◎妙法寺(観月庵)での「大八忌」◎「明治維新」私感◎歴史と〈史跡めぐり〉◎墓参りと〈無縁仏〉◎映画「賊にはあらず」◎最近の「幕末維新」本◎郷土の歴史について◎赤報隊メモ・補◎金子与三郎と吉田大八の「闇夜汁」◎血は大義より重し◎吉田寅之助・異聞、など◎企画力の凄さ◎大山格之助のこと◎旧磐城平(いわき市)行◎江戸市中の撹乱のことなど◎五月二十六日:東善寺行〈小栗まつり〉◎貴重な戊辰実戦記・史料◎歴史を〈研究〉する困難◎不思議な古文書◎金子与三郎の「二弟一妹」◎戊辰戦争縁の地巡り◎〈史実〉って不可知か?◎大正五年十二月二十四日の出来事◎ラスト・サムライ◎軟着陸は無理だったのか?◎仙台藩士・真田喜平太のルーツ◎「錦の御旗」由来考◎幻の京都守護職◎歴史研究書と文体◎示唆に富む一節◎激動期の〈空白〉◎千葉卓三郎の先見性◎彰義隊の墓



sam_hs_bakumatu-ouu-senka-02『幕末奥羽の閃火』大活字版 岩井哲   【品切】
2013.6.13
装丁/神保亮 A5判変形 272頁 定価/1,400円[税別]

サブタイトルを「《日本》の分岐点・戊辰戦争」とし、大きな活字で刊行!

硬直した「原理主義」の激突こそが奥羽の状況をいっそう泥沼化させていったようにみえる。いかなる戦争も、正義は常に「我にあり」、いったん口火を切ってしまえば、両者の間には猜疑心と憎悪だけが不断に増殖され続けることになることは自明のことである。紀元前ローマの哲学者キケロの「最も正しい戦争よりも、最も不正なる平和を取らん」という意味深な言葉が、いまことさらに胸に響く。
(著者「あとがき」より)

『幕末奥羽の閃火』目次

開国と攘夷~「朝敵」の転回、孝明天皇崩御の前後~
「薩摩藩邸焼き討ち事件」考 ~戊辰戦争へ、赤報隊と上山藩等の動向~
もう一人の「帝」のことなど ~列藩同盟、輪王寺宮、ニューヨークタイムズ~
東日本政権構想について ~玉蟲左太夫と小栗豊後守忠順に関わって~
歴史、いろいろな記述 ~「勝海舟」・「小栗豊後守忠順」と上山藩~
奥羽諸藩同士の奇妙な密書 ~「非戦の意」とも読める文書の存在~
上山藩、山形藩、そして新選組 ~山形藩青木市之進、上山藩泉水百輔について~
清川(河)八郎と金子与三郎 ~清川八郎暗殺への金子関与説をめぐって~
吉田守隆(大八)と上山藩の深き縁 ~「吉田家系図」(齋藤隆一氏作成)による~
上山藩(藤井松平氏)メモ
1 濱苑(浜御殿)の警備のことなど
2 脱籍徳川家臣同盟考
3 中村藩との交流
4 興味深い文書
5 リアル・ポリティック
6 月岡神社と浄光寺
7 戊辰戦争、様々な戦線
第一期 庄内藩征討/第二期 越後口戦線/第三期 秋田口戦線
/第四期 白河口・福島戦線/第五期 庄内藩征討/外 西南戦争
8 上山藩軍の概要について
大森快春と治豊 ~維新前後、上山藩ゆかりの人物 Ⅰ~
勝沼精之允と岡谷荘三郎 ~維新前後、上山藩ゆかりの人物 Ⅱ~
松森胤保 ~維新前後、上山藩ゆかりの人物 Ⅲ~
わが歴史開眼 ~七枚の名刺から~
資料・慶応四年四月発令 上山藩総動員計画書
資料・東日本政権構想(閣僚名簿)
資料・戊辰戦争関連幕末年表
付録・岩井家由緒書扣
あとがき


幕末奥羽の閃火『幕末奥羽の閃火』 岩井哲
2012.8.14
新書判 248頁 定価/1,000円[税別] (品切)

前著『上山藩と幕末、その周辺』に、幕末維新史上の大きなターニングポイントとなったと考えられる「薩摩藩邸焼き討ち事件」に関する論考を新たに 加え、さらに他の旧稿へも大幅な加筆訂正を施し、全面的に組み立て直した新著。


上山藩と幕末その周辺『上山藩と幕末、その周辺』 岩井哲
2011.12.25
新書判 210頁 定価/800円[税別](品切)

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