錦 啓(=筆名:天見玲)コラム集『窓辺の足音』
A5判512ページ 定価/3,000円(税別)
発行:2024年11月19日
表紙原画:小野皓一 装幀:岩井哲
書名『窓辺の足音』にさしたる意味はない。「気炎」のなかに「足音」「窓」と題したコラムがある。この二つを強引に結びつけただけなのだが、窓辺の机に座っていると何者かが近づく足音が聞こえる。その正体を確かめようと耳を澄ます。その一瞬の緊張感が短いコラムを書いたり、読んだりする緊張感とどこか通じるような気がして名付けたまでである。(「はじめに」より)
第Ⅰ部 「日曜随想」2007年Ⅰ月~12月
第Ⅱ部 「気炎」 2011年9月15日~2024年7月13日
「気炎」を書き続けているうちに「気炎」が私の生活の中に浸透し、生活と「気炎」が侵食しあい、一体となった。いや、「気炎」が生活の中に根を下ろすようになったと言ったほうがよいかもしれない。
「いいコラムを書きたい」という欲望が生活の優先事項、いわば核となったのである。本を買うのも読むのも、新聞を読むのも、テレビを見るのも、他人の話を聞くのも、演奏を聴くのも「いいコラム」を書くためという意識がまとわりついて離れなくなってしまった。しかし、これは悲しい出来事ではなかった。むしろ私に生きがいを与えてくれた。少なくとも「気炎」は生活のアクセントとなった。
私の晩年に「気炎」執筆の機会を与えてくださった山形新聞社に心から感謝している。「気炎」執筆は私のわずかな才能を引き出してくれた上、生きがいと生きる喜びをつくってくれた。「気炎」を書くことは他の人の人生とつながることであり、わが人生を愛することに他ならなかった。もし書く機会を与えられなかったらどこかに欝々とした気分を抱えたまま人生を終えていたと思えてならない。そうした意味でも書く機会をいただいたことはまことに幸運であり、ありがたいことだった。 (「おわりに」より)
滝口克典著『若者たちはヤマガタで何を企てているか?』
表紙画/野田苑恵
2018年11月30日刊 四六判 342頁 並製本 定価/1,500円(税別)
本書でとりあげた〈若者〉たちの活動は、どれもが、周囲に存在するさまざまな資源を巻き込み、ユニークなやりかたでくみあわせ、独自の価値をうみだしているとりくみでした。彼/彼女らにそれができたのは、ひとつには上記のような〈若者〉のヴァルネラビリティが機能していたからでしょう。彼/彼女らの存在に引き寄せられ、ふだんはいっしょにならないようなさまざまな資源がそこで相互に出会うことが可能になったのです。
ここからは、若者活動、そしてそれにとりくむ〈若者〉には、そのまち/地域にとって大きな価値があることがわかります。もちろん、まち/地域に〈若者〉がいるとは―「地方消滅」論がいうように―人口の再生産が可能、すなわちそのまち/地域の持続可能性を期待できるということですが、それのみならず、外部資源を誘発できる引力や地域資源を活用したイノベーションを期待できるということでもあるのです。(「おわりに」より部分)
※八文字屋書店、小松書店、戸田書店等にて取り扱って頂いてます。
伊淵大三郎『大乗教典は詩・小説・戯曲・創作である』
2016年11月3日刊 新書判 154頁 定価/1,000円(税別)表紙画/前田春治
「…略…クリスマスには子どもたちと讃美歌を歌い、元旦には神社に詣で、教会で結婚式を挙げ、寺で葬式をする日本人とは何か? 年功序列、終身雇用で所属団体に忠実、勤勉な日本人とは何か? 儒教、仏教、道教、神道の教えとは何か? クリスチャンは少なく、イスラム教についてはほとんど知らない日本人とは何か?…略…20世紀はグローバリゼーションが加速し、全世界に共通する地球環境変化をふせぐため多くの国が協力するようになった反面、民族、ことば、文化、宗教の違いから多極化、対立、格差拡大、紛争も続いている。その解決のためには自国、外国の文化をより多く理解し、寛容で自由な精神を学ぶことが大切である。このささやかな小論が、若い人たちに、少しでもこれらの問題に興味を持つきっかけになってくれれば幸いである。」(著者「あとがき」より)
万里小路譲『学校化社会の迷走』 装幀/岩井哲
2016年9月14日刊 新書判 362頁 定価/1,000円(税別)
山形県立高校の英語教員として生計が維持できたことは何事にも替えがたく、この職に就いたことは宿命でもあり恩寵でもある。しかしながら、教職の道は平坦ではなく、常に壁にぶちあたって進んできたように思う。生徒への関わりのほかに教師との関わりがあるという二重構造は不思議に感じたものだ。そしてまもなく、見えないものとの関わりがあることも知った。制度としての学校である。それは、大学で教育学をかじったぐらいでは太刀打ちできぬものであった。以来、常に疑問を抱え教師の道を歩いて来たように思う。
この38年間、さまざまな教育改革が検討され、実施されてきた。しかし、たとえ学習指導要領が改訂されてさえ、変わったのは表層だけで深層における学校は変わらなかったように思う。文部省(のちに文部科学省)が掲げる理念主義に対抗する学校の現場主義はしっかりと根づいていた。つまり、建前と本音のふたつの世界があった。しかし、学校週五日制の改革案が持ち上がったとき、まちがいなく学校は変わると思った。改革案は優れて眩しかった。しかし、学校はさほど変わったようには思えなかった。なぜか? そのわけをずっと問いつづけてきたように思う。(「あとがき」より)
教育論集『教育の森通信~届け、教室へ』渡部泰山著
2015年7月1日刊 新書判/216頁 定価/1200円[税別]
装幀/岩井哲
現代社会の技術革新は、人間の生活のあらゆる場面で、成長、発展、物の豊かさ、利便性という計り知れない恩恵をもたらしました。戦後、かたくな に信じてきた日本人のものさしを、このまま疑わないでいいのだろうかと、未曾有の災害をくぐり抜けた時間の層の中に、串刺しにされた疑念がいくつ も浮かび上がります。
一方、異様な速度で進行した都市農村の過密、過疎問題は、消滅する市町村の危機としてリアリティーをもって顕在化してきています。また、親殺 し、子殺し、自殺、いじめなど、人間の心の殺伐とした風景が日常的に、まるで染みのよう滲みいたるところに噴出しています。
私たち大人は、何を本当に未来の子どもたちへの贈り物として残すことができるか、今日ほど覚悟をもって他者と手を携え、社会に新しい文明の価値 観を示していくことが求められているのではないかと思案したりします。人は生まれ、誰しも一回限りの生を豊かに生きたいと願う。その生を享受する ために、活力あるしなやかな創造力と想像力を生み出していく、希望としての教育を探し求めなければならないと思います。
(「あとがき」より)
著者の渡部泰山氏は、県の教育次長や山形県立東高等学校長、山形大学大学院教授などを歴任。
現在:東北芸術工科大学教授。
万里小路譲『詩というテキスト Ⅱ -山形県+四県詩人詩論集-』 装幀/岩井哲
2013.11.3
四六判/372頁 糸かがり背丸上製本 定価/2,500円[税別]
近江正人/久野雅幸/いとう柚子/芝春也/高橋英司/佐々木悠二/髙瀨靖/菊地隆三/
本郷和枝/高沢マキ/佐藤登起夫/庭野富吉/北原千代/房内はるみ/池田瑛子/佐藤總右/芳賀秀次郎/大滝安吉/長尾辰夫/真壁仁
上記20名の詩人の詩集を、著者独自の視点と方法論で読み解く。その作業を通して、現在的な人間の精神の在りようと世界の状況を浮かび上がらせる。
万里小路譲『吉野弘 その転回視座の詩学』 装幀/岩井哲
2009.11.3
B6判 367頁 定価/2,000円[税別]
万里小路譲『詩というテキスト』 装幀/岩井哲
(2003年度山形県詩人会賞受賞)
2003.2
B6判 248頁 定価/2,000円[税別]
大原螢『迷宮の泉』 装幀/岩井哲
1994.9
A5判 148頁 定価/2,000円[税別]
岩井哲『エリアンの岸辺で』吉本隆明の戦前・戦後 装幀/岩井哲
1988.12
A5判変形 96頁 定価/1,000円[税別]
高啓『劇的乾坤のために』 装幀/岩井哲
1985.10
B6判 122頁 定価/1,200円[税別]
岩井哲『奇妙な時代の顔』 装幀/岩井哲
1985.8
B6判 116頁 定価/1,200円[税別]