よく晴れた昨日と今日、蔵王連峰がくっきりとみえた。南北に連なる全景をパノラマのように眺められる日は、そうあるものではない。そして、ここ上山、斎藤茂吉記念館付近からの眺望は、これまた格別なのだ。竜山からザンゲ坂、そして熊野・刈田岳にかけた連峰の曲線は、とりわけ美しい。しかも全山真っ白の雪。稜線に際立つ色彩のコントラストは、雪の白色と穹の蒼色がせめぎあっている証で、輪郭線のような固定された境界ではないヴィヴィッドな印象をうける。「絵空事」という言葉があるが、そんなイメージを想起させる雲一つない蒼穹。パーフェクトな絶景の一言だ。
こんなときに限って、いつでも車に置きっぱなしにしているはずのカメラがない。くやしい気持ちすら湧く。私たちに「どうだ、まいったか!」と言わんばかりに悠然と日没を待っているかのような風景だった。