自画像
大気の薄い流れはぼくである
ことばのゆがみや
地勢のちょっとした凹凸に躓くのも
ぼくである
液状化したモラルの銀河で
明日を計りかね
塵のように彷徨っているのはぼくである
絡みあう雲の怪しさ
祖父たちの歴史の音いろ
すべては浮遊し
どこかへと透けていく
そう感じているのもぼくである
時空の匂いのなかで
〈いま〉の病理を舐めているのは
ぼくである
淡い失語も
鏡に映る饒舌もぼくである
みなぼくである
けれども
死に傾いていく〈時〉の予兆を
そっと払い除ける仕草が
好きなのも
どうやらぼくである