詩一篇「自画像」

     自画像

     大気の薄い流れはぼくである
     ことばのゆがみや
     地勢のちょっとした凹凸に躓くのも
     ぼくである
     液状化したモラルの銀河で
     明日を計りかね
     塵のように彷徨っているのはぼくである

     絡みあう雲の怪しさ
     祖父たちの歴史の音いろ
     すべては浮遊し
     どこかへと透けていく
     そう感じているのもぼくである

     時空の匂いのなかで
     〈いま〉の病理を舐めているのは
     ぼくである

     淡い失語も
     鏡に映る饒舌もぼくである
     みなぼくである

     けれども
     死に傾いていく〈時〉の予兆を
     そっと払い除ける仕草が
     好きなのも
     どうやらぼくである

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