少ない上山藩軍の情報

賊軍(謂れのない蔑称!)として戊辰戦争を戦った上山藩軍の資料は、現在ほとんど残っていない。軍服はおろか、戦陣で綴られたであろう日記や報告書なども残存している話を聞いたことがない。敗色濃厚な流れを察知したとき、軍は敵に見られてはまずい資料を何よりも先に焼却処分してしまうからなのだろうか。

このたび「上山小銃大砲隊」の木村慎也氏より貴重な資料を提供していただいた。上山藩が庄内藩や仙台藩等と共に秋田に攻め入った時の、敵陣にあった角館の兵士・茅根竹之助なる人物が書き留めた日記に、「上山藩の軍服」のスケッチが描かれていたのである。それを見ると一緒に描かれた仙台藩の軍服同様、意外や意外、洋装であったことがわかる。

上山藩軍服-小

もう一つは上山藩軍の兵士が身につけていたと思われる「袖章」の写真である。この現物は鶴岡市郷土資料館に所蔵されていたものという。木村氏の話では、上山藩が新庄藩の裏切りによってちりちりになって一旦庄内へ逃れたあと、隊を立て直し、庄内藩第二大隊と作戦をともにして秋田(久保田)へと出陣するとき急遽つくったものではないか、と推察できるとのこと。

上山藩袖章-小

どちらの資料も貴重な一次資料で、提供してくださった木村慎也氏には只々お礼を申しあげるのみである。心より感謝!

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