自然な「ことば」へ

 オーバーアクションとだみ声。わざとらしいネタ。正直、これらは見ているだけでも疲れる。バラエティー番組の「ことば」は、微妙で、もの静かなニュアンスをことごとくそぎ落としながら簡略化し、テンションだけが高い。よりインパクトのある「ことば」を発しないと視聴者に届かない、そんな不安を芸人が持ってしまっている裏返しなのだろう。しかし、バラエティー番組は若者の間で圧倒的に支持されているらしい。ほんとうに不思議だ。金太郎飴のような類似番組が相変わらず茶の間を席巻し続けているのはその何よりの証なのだろう。必要なとき、必要なだけの、さりげない、身体から自然に表出されてくる「ことば」では、もう私たちは何も伝えられなくなってしまったのだろうか。

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