ほとんど知られていないが慶応3年(1867)12月9日の軍事クーデター「王政復古」(岩倉具視・西郷隆盛・大久保利通らの謀略)のあと、新政府によるもう一つの誤謬が進行し始める。「廃仏毀釈」である。日本古来のおおらかな信仰が否定され、国家神道への収斂をもくろむ強制的な歩みが開始されたのである。多くの寺や仏像が焼かれ、僧侶は否応なしに神官に、それを拒絶する僧侶は追 …
続きを読むほとんど知られていないが慶応3年(1867)12月9日の軍事クーデター「王政復古」(岩倉具視・西郷隆盛・大久保利通らの謀略)のあと、新政府によるもう一つの誤謬が進行し始める。「廃仏毀釈」である。日本古来のおおらかな信仰が否定され、国家神道への収斂をもくろむ強制的な歩みが開始されたのである。多くの寺や仏像が焼かれ、僧侶は否応なしに神官に、それを拒絶する僧侶は追 …
続きを読む「龍馬伝」がそうだったように、攘夷だ、天誅だと熱い連中が集う松下村塾を舞台とした「花燃ゆ」も然り。どうも幕末は嘉永6年(1853)の「黒船来襲」から始まるかのように擦り込まれているようだ。少し頭を冷やして、ここではペリーが来航する半世紀前に飛んでみたい。 寛政の改革で知られる松平定信という老中がいた時代だ。その彼のもとに誰も経験したことのない難問が立ちはだか …
続きを読む3月8日(日)、午後2時より、天童市民プラザ(天童駅前)において、お話しさせて頂くことになりました。 これまで書かれて来たさまざまな「偉人伝」の中には、虚像に近いものがけっこう多いのではないか、ずっとそう思って来ましたが、その代表的なひとつの例として幕末の天童藩中老・吉田大八を挙げる事ができるように思います。考えてみると「偉人伝」という形式の書き物は、そもそ …
続きを読む倒幕派に人脈を持ち、それゆえ維新後、偉人として幻想を纏い続けることになった人物=勝海舟。徳川幕府の禄を食む幕臣でありながら、幕府内部の重要な情報を倒幕派にリークした人物でもある。「禁門の変」において御所に大砲を撃ち込んだ長州藩を征伐しようとした通称「長州征伐」の第二次決行を前にして、勝海舟は、幕府内で第一級の機密事項であった小栗忠順提言による「郡県制構想」を …
続きを読むサッカー日本代表監督について考えてみた。 この度、疑惑によって解任されたアギーレ氏問題について、小生はアジアカップの直前でも解任すべきと考えていた。アジアカップに臨む選手たちのコメントを読むと、アギーレ氏にかけられた疑惑は、ゲームに臨む選手たちにとって「関係ない」というものだったが、深層心理的に「関係ない」わけがないと思えたからだ。それは結果が思わしくなかっ …
続きを読むNHK大河ドラマ「花燃ゆ」は、始まったばかりだが視聴率の低迷状態にあるらしい。とはいっても小生には視聴率に関する興味はまったくない。あの幕末期、開国を決断しようとしていた幕府の要人(とりわけ大老井伊直弼)、公家・武士を問わず、同調者らに次々と陰惨なテロを断行していった長州藩過激派の教祖とも言うべき吉田松蔭を、ドラマ「花燃ゆ」はどう描くのか、これだけに興味をも …
続きを読む江戸時代最後の元号は、はたして「慶應」なのだろうか? 戊辰戦争時「東日本政権」(もしくは北方政権)が樹立され、新しい帝・輪王寺宮公現法親王が即位し、元号を「延壽」としたという記録が残されている。「大館戊辰戦記」(大正8年刊)。史実ならまさに驚きである。 慶応4年(1868)8月22日の出来事、つまり盛岡藩(南部藩)と秋田藩の戦闘に関わる秋田藩側(新政府軍 …
続きを読む最近、柄でもないのに人前で話す機会が増え、自分としては何となく複雑な気持ちである。 もちろん機会を与えて頂いて、そこで伝えたいことを何の制約もなく自由に喋らせて頂けるわけだから、確かに嬉しいシーンには違いない。だが、心のどこかに「専門家でもない自分が、話の内容にどこまで責任をもてるのだろうか」という自省心も渦巻いていることも事実なのである。それでも、オファー …
続きを読むまったく新しい視座から、驚きに満ちた幕末維新論を展開されている原田伊織氏の新著が刊行され、さっそく購入。前著『明治維新という過ち』の改訂増補版である。 「史実を知ろうとする場合には、細心の注意が必要である。近年は誰もが一次資料だ、二次資料だと騒ぎ立て、一次資料というだけで無条件に信じ込む単純さが幅を利かせているが、私はもともと、書き物だけが資料だとは思ってい …
続きを読む闘病中だった尊敬する神保亮さんがまさに年が明けた1月1日に逝去された。享年78とのこと。地域誌「やまがた散歩」が廃刊になり、「郷土の雑誌として何か創刊できないか」という八文字屋の社長五十嵐太右衛門さんの発案を受け、八文字屋本部で開かれた「やまがた街角」創刊準備のための第1回目のミーティング(2001年・春)ではじめて神保亮さんにお会いし、それから十数年、一方 …
続きを読む