金子萬嶽の謎

 上山・経塚山文学散歩道に金子萬嶽の句碑が建っている。萬嶽は享保14年(1729)上山に生まれ、寛政6年(1794)江戸に出て、麻布広尾野に草庵を結び、俳人となった人物である。  『上山市史』中巻・第六章に「藩の重職にあった金子六左衛門清英が職を辞して野に下り、古調庵萬嶽と号して俳諧の宗匠となり…」と記されている。他にも郷土史関係の資料にはけっこう多く紹介さ …

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角度と座標軸

 子どものころ、日本が真ん中に位置していない世界地図を初めて目にしたとき、妙な気分になったことがあった。比較的最近になってからも、スペースシャトルから撮影した地球の映像をテレビで見る機会があったが、その時も、長年慣れ親しんだ東西南北の座標軸があくまでも仮りのものでしかないことを、ズシリと追認させられた。感覚が慣れるまで、地球のどの辺りが映し出されているのかさ …

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沈黙について

 人は黙っていると何も言いたいことがないとみなされがちだ。そして「ことば」にならないかたまりを呑み込んだままぼーっとしていると、この世の習わしでは、おおむね同意したものとみなされてしまう。ちょっと待ってくれ、と心の中で叫んでももう遅い。そこにはちゃんと「黙契」ということばが用意されている。辞書をみると「暗黙の間に成り立った、意志の一致または契約」というもので …

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猫とカミナリ

 ここ2週間ばかり一日中惰眠をむさぼっているだけの我が家の猫3匹。「ヒーコ」「ノブ」「キョト」。エサを喰うとき以外、少しでも涼しいところを探し、内外(うち・そと)問わずあっちでダラリ、こっちでゴロリ。  私は日中、事務所で仕事をしているのでその間の状態は確認できないが、もしかして移動時間をのぞくとほとんどが睡眠時間だったはずだ。そのものぐさ然とした3匹のうち …

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探求とか研究のありよう

 ある分野で新しく挑戦を始めると、そこには既成事実や一般常識として君臨している〈知〉の蓄積された貯蔵庫がみえてくる。当然そこには睨みをきかせる管理者がいて、世間では彼のことを〈権威者〉と呼んでいる。彼はまたその周辺に多大な影響力を保有し、ひとつの勢力のなかでカリスマとして君臨している場合が多い。そんな環境下で、挑戦を始めたばかりの新参者が、〈権威者〉の説を覆 …

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久しぶりの勝利

 早いものだ。もう残りは13試合のみ。次節(8月22日)はアウェーで、城福浩監督率いる現在首位のヴァンフォーレ甲府戦。ファンとしてはぜひ勝って首位との勝ち点差を詰めておいてもらいたい局面である。昇格戦線だけの視点でみればまさしく次節は正念場。下に表示した順位表は8月19日現在のものだ。     1位 甲府   57   +19     2位 京都   55  …

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〈往路〉と〈復路〉

 人間の生涯を仮に88年としてみる。そのうち55年は〈往路〉(イケイケ期)、33年が〈復路〉(マテマテ期)に該当するような気がする。無我夢中で己の世界を拡げ、突っ走るだけつっぱしるのが〈往路〉で、ある日、ふと老の感覚に直面し、彼岸へうっすらと死のイメージを抱きながら生き始める時間を〈復路〉と考えるとき、まさしく往きはよいよい復路(かえり)はこわい、なのだ。〈 …

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つきぬけた言葉

 ロンドン・オリンピックも終了した。蒸し暑い夏のひととき大いに楽しませてもらった。勝者、敗者から発せられたさまざまなコメントが、インターネット・テレビ・新聞紙上を飛び交っているが、その中でボクシングのミドル級で48年ぶりの金メダルをとった村田諒太選手の発した言葉はナイスだった。「このクラスで日本人がメダルをとるのは無理だろうと言われていたけど、俺にとって無理 …

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いいもの観て来た

いいもの観て来た−その1 「高橋由一展」  凄いのひとこと。日本における近代絵画の始まりは黒田清輝だろう位の認識しか持っていなかったが、それ以前にあれだけの画家がいたことにまずは驚かされた。とくに風景画が印象に残った。江戸末期から明治中期にかけて描かれた作品だが、当時の画材のことを考えると、あれだけの作品を描いたこと自体、不思議な程だ。光と影を軸としながら構 …

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自然な「ことば」へ

 オーバーアクションとだみ声。わざとらしいネタ。正直、これらは見ているだけでも疲れる。バラエティー番組の「ことば」は、微妙で、もの静かなニュアンスをことごとくそぎ落としながら簡略化し、テンションだけが高い。よりインパクトのある「ことば」を発しないと視聴者に届かない、そんな不安を芸人が持ってしまっている裏返しなのだろう。しかし、バラエティー番組は若者の間で圧倒 …

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